よりによって、なんで先輩にぶつかるかな……。
まず、なんで先輩がここに……?
私が歩き出せば、そのまま私の隣を歩く一ノ宮先輩。
いつも見てくるし、流石に私のこと知ってるよね?
「…………。」
私が何も言わなければ、一ノ宮先輩も何も言わない。
……気まずい。
チラッと横目で先輩を見る。
先輩は無表情で堂々と前を見てて、その顔は凛々しく、学校で人気なのにも納得がいく。
肩を並べてこそわかるのは。
私の頭が先輩の肩よりも下にあるほどの身長の差と。
肩幅が広くて、さっきぶつかった背中も骨張って固かったこと。
先輩もちゃんと、男の人なんだと実感した。

