【完】向こう側の白鳥。









ただただ、声の出ない口で「うそ」と呟き続けた。





足の力が抜けて、廊下だろうが気にせずその場に座り込んだ。





「……だから言ったんだ。近づくなって……。」





沢渡先輩の言葉が、頭から離れない。





『お前はそいつの代わりにされたんだ。』





どことなく感じていた、一ノ宮先輩の雰囲気。



悲しげで、切なげで、儚げで。





私を見てるのに、なぜか視線が合ってない気がした。



確かに視線は交わってるのに、心は決して交わらない。





わかってたんだ、私。



気づいてないフリをしてたんだ、私。





最初から……最初から、一ノ宮先輩は私を見ていなかった。