【完】向こう側の白鳥。









――「白鳥柚子。」



次の日の昼休み。





「お前に用がある、来い。」





沢渡先輩が私の教室へと来た。





周りの生徒は騒ぐ。



いくら行いが悪くても、ファンクラブがあるほど人気な沢渡先輩。





そんな彼が、まるで告白でもするように異性を呼び出したのだから。





……実際は、告白なんかじゃなくて。



きっと、もっと苦しく重いものなんだろうけど。





「柚子、お前何かしたの? あれ、三年の沢渡先輩だろ?」





丁度教室にいて、騒ぎを嗅ぎ付けた時貴くんが私の元へと来る。



時貴くんと私は、今年は同じ1−1クラス。