それは去年の夏。

「かなえー。帰ろー」

「あ、うん!ちょっと待ってて!」

慌ただしく鞄に教科書を入れるかなえを横目に制服の袖をまくる。

その日は終業式で肌を刺すような太陽の日差しに頭がボーっとしていた。

「んーっと…教科書もノートも入れたから…」

「かなえ、携帯は?」

「あー…そっかぁ…先生に没収されたんだった…」

「取りに行かなくちゃね。職員室、行こ?」

そんな会話だったと思う。

ごく普通の仲の良い会話。

私とかなえは幼馴染でわりと家も近かったし、すごく仲良しだった。