「 小賢しい娘だ。
今すぐ私が貴様を葬ってやろう。
既に勝ち目などない、抗うでない。
大人しくその運命を受けいれろ 」
「 うるっさい!!
そんなの、やってみなきゃ分かんないでしょ 」
距離を詰めて杖の先から虹色の光の玉を何発も繰り出しては相手の鋭く尖った爪を生やした腕を振りかざされるも、ぎこちなく避けていく。
互いの攻撃はなかなか当たらない。
相手の方が図体こそ大きいものの、俊敏な動きに目もくれる。
——大きさと速さがあってないんじゃないの、!
けれど、私が後ろに下がれば彼らが犠牲になってしまうかもしれないと
そう思えば後ろに引くなんてことは出来ずに
結局は悪魔に近付くかその周りを羽虫のように動き回ることで精一杯。
チラリと横目でシキ達を見れば、先程の戦いで崩れた壁や天井の瓦礫に身を潜め少しずつ治癒を施しているのが見えた。
恐らく、ユエだと思う。
私の治癒が少しだけ効いてるのかも。
でも、今の彼らは動くことも辛いはず。
私が少しでも時間稼ぎしなくちゃ。
「 よそ見とは随分余裕だな? 」
「 ——あっ!! 」
振りかざす腕を避けた直後、シキ達を見てしまい次の防御が遅れた。
蛇のように揺れる尻尾に巻き付かれそのままシキ達が身を潜める瓦礫を通り越し、その奥の壁へと放り投げられる。
「 かっ、ハ…… 」
薄い防御を張ったもののその衝撃に耐え切れずに呆気なく割れて私は前のめりに地面へ倒れ伏せた。
—— 生身だったらもう死んでたかもしれない。