じぇりーふぃっしゅ

はぁ、はぁ、はぁ…
踏み切りに引っ掛かって少し遅れてしまった。

ブランコの1つが揺れている。…美里だ。赤いダッフルコートは学校でも着ているからわかる。

「あ…悠ちゃん!!来てくれたんだ…!」

来てくれたんだじゃないよ…。

「美里が来いっていうから…」

美里はブランコを軽く揺らして、立っている僕に「座りなよ」と言った。

「…悠ちゃんは、この公園覚えてる?」

覚えてる。美里が家出した日。俺らは小学生だった。

「大好きなハムちゃんが死んじゃってさ…どうしようもなくて…信じられなかった時に逃げたんだよね…」

バカだったなぁ…と息を白くして笑った。

「んで、美里の母さんが必死で探しているからさ…俺も探すって…んな事あったな…」

ガキだった。今になればわかる気がする。

あん時に比べたら大人になれたんだよな…?自問自答状態…返事は見つからなかった。