「大人になれ!」

先生の声が頭の中でリピートする。

提出物を出したら大人になれるのか。

勉強をしたら大人になれるのか。

卒業できたら大人になれるのか。

少し生まれたのが早かったくらいで…鬼吉のくせにさ。

「はぁ…」

「なぁに、ため息なんかついてるのよー」

目の前には幼なじみの美里がいた。

「うわっ!!なんだよ!びっくりさせんなって」

ヤバい。内心焦ってた。目の前に美里がいる。

それは、大変ありがたくも、迷惑でもあった。

横目で高島を見る。ヤバい、かなり見られてる。

「悠ちゃんは、いっつもそう!自分で悩みとか抱えちゃってさ?美里のこと頼らない!!」