悪者女子の恋心!

きゅっと後ろから手が回されて、温かい体温に包まれた。


「え、凜…いいの、」

婚約者放っといて。


そう言おうとしたけど声が出ない…というかその前に、言えない。


「とっくに婚約破棄して来たっつーの。帰らなかった日は家で交渉してたんだよ」


「だってその後避けてたじゃない…」


「それはその…ちゃんと菊乃とも話さねぇと顔向けできねぇし」


「バッカじゃないの、そうされてる方が辛かったわよ!バカバカバカアホ」


「黙れ塞ぐぞ」


凜がそう言った途端、力強い腕で前を向かされ言葉を遮られる。


「んっ」


唇を離すと、するりと冷たいものが指に通された。


「はい、これ」


「何…指輪?」


桜がモチーフの可愛いリング。


「俺と結婚しろ」