悪者女子の恋心!

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涙が止まらない。


立っていられなくてその場にしゃがんだ。


「咲っ!どうしたの、」

透真も言葉を失う。


「これって…」


万雄も目を見開いた。






『咲』という名前のお菓子。

【春を先取り】というコーナーで、通常販売は4月5日。


あたしの、誕生日。


これは偶然なの…?


「誕生日の、ちょっとしたお祝いに…」


透真が読み上げる。


桜色の膜の中に餡と桜の花びらがあしらわれた水饅頭。

少しだけ金箔も混ぜてある、綺麗なお菓子…



「咲っ」

大きな音と共にお母さんが入ってきた。