悪者女子の恋心!

「私の家は大手老舗和菓子店、間宮和菓子です。昔から独自の製法と発想力、繊細さや美しさを培ってきました」


「はい」



「勿論、独自というわけですから間宮和菓子は何処の和菓子にも製法を教えるなどの愚策はいたしません。間宮和菓子は間宮和菓子として日本で独立し、また経営していたのです」


それも昔の話ですが、と菊乃さんが締めくくる。


それでおおよその話は見えたわ。


「私が家を出る1週間前のことです。メニューやカタログデザインなど、広報をお願いしている出版社の記者がやって来ました。彼の名は、羽鳥です」



…羽鳥。聞いたことあるわね…確か、行きすぎたスキャンダル記事で猶予付きの解雇命令出された人。


ニュースでやってた。



「ちょうどその時、家には使用人と私しか居なかったので、一応は次期跡取りである私は彼を客間に通しました。…彼はそれを狙って訪ねてきた訳ですが」



途端に苦しそうな表情を浮かべる菊乃さん。


不謹慎は承知だけど、その顔は椿に似てて少し安心する。