悪者女子の恋心!

ふふ、と椿が可愛らしく笑う。

「咲はね。家ではポーカーフェイスできなくなってるよ」

「…え?」

「それだけ信用してくれてるんだって思ってもいい?自惚れてもいいー?」


「ニ…ニヤニヤ笑うんじゃないわよ!…いいけど」


あぁ、素直になりたい。

あたしの理想は学校でのあたしだから。


だから椿の性格はあたしの理想にピタリと嵌まってると言える。


「…間宮家と戸田家には婚約拒否権があるから大丈夫だよ」


「そんな権利あった?」


「間宮と戸田の独自のやつかな。自由権と最近重視されるようになった人権…つまり自己決定権を尊重する形になるけど」


なるほど。

自己決定権ってインフォームド・コンセントだけに解釈される訳じゃないのね。

「咲、菊乃姉さんには関わっちゃダメだよ。あの人は絶対に咲を傷つける」


なんだか腑に落ちない。


「どうしてそんな…」

他の家の事情に踏み込むつもりはないけど。


「自分の都合を優先して、全てを蔑ろにする人だから」


椿の言い方から随分傷ついたことが分かる。


何で自由権を尊重する家が、椿を監禁しなくちゃいけなかったのよ。


椿はきっと…そこで傷ついたんでしょうね。


矛盾は明らかなのに、逆らえないもどかしさと。


自由と引き換えに自分を捨てた姉への失望。


…苦しい。