悪者女子の恋心!

「椿ね、和菓子屋の娘なの」

「…知ってるわ」


間宮和菓子、ね。老舗の。

「菊乃姉さんは、後取りになるはずだったの。…でも、ある日、姉さんは変わった」


「変わった?」


「笑わなくなって、表情が消えて。でも両親には楯突いてそれから…逃げたの」

「何それ」


「フランスに留学して、洋菓子を学ぶって。男の人をとっかえひっかえするようになって、凜を裏切った」

「…そう」


「問題はその後。優等生の後取りが居なくなって、勿論目をつけられるのは椿。」


当然、といえば当然の流れね。

上の人間の勝手な行いは、下が尻拭いしなければならない。


「姉さんの変貌…って言うのかなぁ?両親は、それを繰り返さないためにね。椿を監禁したの」


「どういうことよ、それ。監禁…親が?」


少なくとも大切に育ててきたはずなのに。 


「家から出るな、話してはいけない、勉学に集中しろ…椿は離れに隔離されてたの。でも見ちゃったんだー」


「椿の誕生日。菖蒲が両親と出かけるの。手ぇつないで遊園地に行くのを。椿の誕生日も、存在も、全部全部っ…、忘れてた…っ」



あぁ、だから。


椿は家を苦手とするのね。

「でも…椿が居なくなっても反抗しても、菖蒲の立場は変わらない…。監禁もされない。椿はどうして…?」


菖蒲は特別なの?


椿が泣くときは本当に辛いとき。


本当に辛そうに泣くの。