悪者女子の恋心!

春美さんが急に立ち上がった。

「ごめんなさい…咲ちゃん。弱いあたしが、何もかもダメにした」 


「そうね」


「だからもう1度伝えに行く。真っ直ぐ、気持ちを。それで咲ちゃんに勝てるようになる」


春美さんが笑った。


顔はグシャグシャで不細工だけど、眩しい笑顔…



「無理よ、あたしに勝てるわけないわ。…あたしねー春美さんのキラキラしてて綺麗事まみれな所が大ッ嫌いなの。でもね、」

春美さんがまた固まる。


「その笑顔は好きよ」


あたしは綺麗なものが好き。

心はずっと綺麗ではいられないけど。



「ありがとう咲ちゃん」

「別に?言いたいこと言っただけよ。それから、今日の放課後に中庭。この場所、分かった?」


「え、あの…」

「質問はなし」


そう言った所でチャイムが鳴った。


ホームルーム丸々サボっちゃったみたい。


春美さんは分かった、と頷くと軽い足取りで去って行った。