「華蓮………?」



声のする方を向くと、土方が華蓮を見つめていた



「あ、おはようございます」



「あぁ、お前、どうかしたか?」



──今の独り言、聞かれてた?



「いいえ、なんでもないですよ」



まだだ



まだ、話すわけにはいかない



華蓮自身が決断をするときまで
、恐らくもう少ししたら起こる事件



それが決断の時かもしれないと心のどこかで思う



布団から出て、深いため息をつく












ただ一つ



どんなことになろうと逃げてはいけない



小雪の気持ちにも、自分の気持ちも何にも嘘をつかないように



前を真っ直ぐ見据えて




──あなたが思うままに正直に生きて下さい

それが唯一の近道です──



きっとそれは本当に望む場所への近道



華蓮は晴れ渡る空を、目に焼き付けていた