歯の浮くようなセリフが恥ずかしげもなく書かれている。


そしてそんな恥ずかしい恋文の最後には《掘 美彩より》。


……最悪だ。


これでクラスメイトたちが笑っていたことも『頑張って』と言っていたことも理解できた。


そして先生がやけに緊張して、あたしを屋上なんかに連れ出した理由も、わかった。


あたしはフゥと息を吐き出し、便箋を封筒へ戻した。


さて、これからどうするべきか。


これを出したのはあたしじゃない。


でも、目の前の先生はあたしだと信じ込んでいる。


そして恐らく、この手紙をすごく喜んでくれている。


目の前にいる先生はまるで少年のように頬を赤らめ、好きな子を前にしてどうしていいのかわからない。


といった様子だ。