彼に殺されたあたしの体

「ねぇ、そこに落ちているのは教科書じゃない? 教科書に持ち主の名前が書いてあるかもしれないわよ」


「本当だ。どれ……」


ガサッ。


あたしの顔の上に乗っていた教科書が音を立てて持ち上げられる。


ゆっくりと、光が差し込んでくる。


教科書の上に乗っていた土がパラパラとあたしの顔の上に落ちた。


あぁ……。


光だ。


「掘美彩って書いているな」


「え……?」


光があたしを照らしている。


床下の薄暗い光でもこんなにも眩しいんだ……。


「あなた、今なんて……?」


穴の中に立ち、あたしの教科書を見ている旦那さんの姿が見えた。


穴の付近からこちらを覗き込んでいる奥さんが見えた。