そして、奥さんの足音が一旦と遠ざかり、すぐに戻って来た。


人間は立って入ることのできないスペースだが、マロンにとっては十分な大きさがあるらしい。


すぐにマロンの足音が頭上まで聞こえてきた。


「そこか? そこに、なにかあるんだな?」


マロンが土を掘り返しはじめ、旦那さんがそう言う。


「園芸用のスコップを持ってきてくれ!」


あたしは土の上で起こっている出来事を、ドキマキしながら聞いていた。


今あたしの上の土が掘り起こされている。


小さなスコップで少しずつ。


だけど確実に、あたしへと近づいている。


あたしは睦人君の言葉を思い出していた。


あたしは必ずここから出る事が出来る。


それが今なのだ。


今、この瞬間だったのだ。