家が建つ話が決まってから工事が始まるまで、あっという間だった。


人が頻繁に土の上を歩き、難しい話をしているのが聞こえてくる。


その度にあたしは祈った。


あたしを見つけて。


あたしはここにいるわ。


けれどその思いは届かなかった。


人が来ては願い、気づかれずに去っていけばその人物を恨んだ。


こんなに沢山の人間があたしの上を歩きまわっている。


なのに、どうして誰もあたしを見つけてくれないのだろう。


あなたたちはあたしの体の上を歩いている。


それなのに、あたしをすくってはくれない。