彼に殺されたあたしの体

一旦学校へ戻って美術室から道具を持ち出したあたしは、再び川辺に戻ってきていた。


川の流れは穏やかで、透明な水の中には小魚が見える。


あたしは周囲を歩き回り一番描きたいと思う場所を選んだ。


一度場所を決めてしまうと、そこに座って熱心にペンを走らせるだけだ。


この時間があたしはとても好きだった。


まるでペンに命があるようにスラスラと腕が動いて行く。


自分の意思で描いているというよりも、勝手に出来上がっていくと形容した方がふさわしいかもしれない。


その間あたしはジッと景色を見つめ、一心不乱にスケッチブックへ向かう。


時間はあっという間に過ぎて行き、気が付けば太陽の向きが変わっていた。


あたしは空を見上げオレンジ色の雲にそっと息を吐きだした。


集中して描き始めると自然と肩に力が入り、歯を食いしばってしまうのがあたしの癖だ。