「……あは、じゃ、あたし達帰るね?
……先輩、いきましょ…」


大きく手を振る妃那と李久。
あたしは振り返らずに一直線に
あるとこへ向かった。





「……先輩、これ乗りたいです……」

「無理なんじゃねーの」


そう。観覧車。


「無理なんですけどね……、
なんか……乗りたいんですよ」

「ふーん」

「先輩は帰ってもいいですよ?
あたし1人で「いくぞ」



ぐい



え?


先輩はあたしの手を繋いで観覧車の中へ。



「先輩、いいんですか?」

「べつに」


言葉は冷たいけど、
なにもとげが刺さってこないのは、

先輩の優しさを感じてるから。



あたしが高いとこだめなの知ってるからなのか、

いまだってずっと手繋いでくれて、

普通向かい合わせで座るのに隣に座ってくれて、

それって優しい人じゃなきゃできないよね。