カカオ80%な彼。

妃那も李久も何もわかってないよ。
それって生殺しなんだよ?


なんて……絶対言えないんだけど。


「なっちゃん?」

「う~ん、わかったよ……」

「え?いいの?やったー!!」


だってここまで言われたら逆に断りずらいよ。かれこれ30分は言われてるもん。


「で、でも……さすがにカップルの中に1人は気まずいからあたしも男の子誘っていい?」

「「え?」」


え?だめ、なのかなぁ……。


「だめ、だった?」

「ううん!!そんなことない!!」

「菜津の口から男誘うなんて初めてだからびびったよ!
で?相手だれなんだよ」


興奮ぎみにあたしにきく妃那と李久。


てか相手、どうしよう……。
けどあたしが唯一喋るのって、
永斗君か赤月先輩なんだよね。


「まだ、決まってないけど聞いてみる」

「うわ~たのしみ~♥
Wデートだね~」


"デート"

たったそれだけで胸が痛む。


ほんと、そろそろちゃんと忘れないと。