ふわっ
「せん……ぱい?」
先輩は優しく、あたしを抱き締めた。
「……………」
ずっと黙ってる先輩。
今のあたしにはそれがちょうどよくて、
どうしても涙がでることを我慢出来なかった。
「……ふぇ……ヒック…すい……ません……ヒック…」
人前で泣いたのなんていつぶりだろう。
だけど先輩の胸で涙を流すのは、
抵抗がなくて、
気持ちよく涙を流せた。
先輩に抱き締められてる何分か経ってやっもあたしも落ち着いた。
そのころにはもう涙もすっかり止まっていて、口のなかの苦い味も消えていた。
「先輩、ありがとうございました」
先輩の腕の中から解放されて、
あたしは再びチョコを差し出す。
「このチョコ、先輩にあげます。
きっと先輩も食べれますよ。
じゃああたしはこれで」
軽く一礼して図書室を後にした。

