「はいはい、海聖どいて~」


可愛い先輩は赤月先輩からあたしを離してくれた。


「なっちゃん大丈夫?海聖怖かったよね?」

「あ、はい……大丈夫です」

「そっか~あ、俺は永斗(えいと)」

「永斗先輩、ですか」

「あ~、永斗先輩じゃなくて永斗君ってよんで~」


え?だって一応先輩だよね?
でもまあ、いっか。

それよりも問題は、
この人だよね……。


「……それで、赤月先輩はあたしに何か用ですか?」


いや、わかってるんだけどね?
絶対昨日のことに決まってる!!


「てめー名前なんだよ」

「まずは自分が名乗ってください」

「…チッ、赤月海聖……」


赤月、海聖先輩……


「で?てめーは」

「白石菜津です」

「ふーん。てめーが白石菜津」


あ、赤月先輩もあたしのこと知ってた?
正確に言うと名前を知ってた……か。


「あたし、人気者ですね?
永斗君もあたしのこと知ってたみたいだし?

赤月先輩も名前だけは知ってたみたいだし!」