一度かけ直してみたけど、電話が繋がる事はなく。
アパートがある路地に入る為に角を曲がると、
白いワゴン車が。
あの日。
隼人、と呼ばれていた男の人を迎えに来た車と同じだと思う。
窓、叩いた方がいいの?
無視して帰っていいのかな。
「おい」
びくうっ!と肩を揺らす。
急に話しかけられて驚き、体が反応した私に声をかけたのは。
「乗れよ。行くぞ」
「い、行かない……」
「はぁ……たこ焼きが冷めるだろ」
「食べればいいじゃん」
「拉致るぞ」
「お、おどし……」
夜でも暑いのに。
涼しい顔をした響が。アパートの階段に座っていて。その後ろから祐也がニヤニヤと笑っていた。

