青空の下月夜に舞う

誰だろう。

もしかすると、誰かの急用?



疑問に感じながらも、次こそは通話に切り替え、耳に携帯をあてた。


「……はい」

『あ!やっと出た~』


語尾に。何となくだけど、独特な個性がある。
この声は……



「美咲さん?」

『当たり当たり!』


知った人だと分かり、ホッとする。
ロッカーを閉めて、鞄を手に持ちながら、従業員出口から帰路に付こうと扉を開けた。

生暖かいじめっとした風が髪を靡かせる。


『あれ?今外?』

「はい。バイト終わりで……」

『嘘?!花火見てないの?超綺麗だったよ~?』


裸女はいつもと同様、テンション高く話す。
電話の向こうも静かではなく、外なのか、大勢でいるのか。