「私……乗らない」
選択は……――――――――拒否。
私の答えを聞いて、スライドドアが静かに閉まると、ゆっくり発進して行った。
暫く足元を見つめ、大きく息を吐くと、顔を上げて家路に着く。
牛丼が。すっかり冷めちゃったじゃん。
一人、部屋でする食事はもう慣れた。
祐也の、乗れと言った意味が、家に送ってくれるだけのものではない、と。
“首を突っ込むな”の一言で悟った私は、どうしても車に乗れなかった。
昨日。響が言ってくれた“大丈夫”に力を貰ったから。
信じた者は救われる、と。誰かが言ったであろう言葉。
それよりも、
信じるものが馬鹿を見る。の方が、今まで生きてきた中で身に染みていた。