青空の下月夜に舞う


「じゅ、塾をサボってたのを、兄に見つかってしまって……」


開いた口から出てきたのは、この人を兄だと。

顔が似ていない兄なんてどこにでも居る。



「兄は、グレた自分を反面教師にしろ、と。」


けれど、この人の見た目は、決して真面目な兄像ではない。

だからこそ、この人が何かを言い出す前に、私が口を開く必要があった。


比べなくても、どう見たって普通の私が喋った方が、信じて貰えるに違いないと感じ。


「もうすぐ夏期講習なので……辞めたいって愚痴ってたら、行った方がいいと説得されていました」


こんな時、塾に行っている友達が身近に居た事が何よりの救いだ。セナとの会話が役に立つ。


真っ直ぐ目を見て、言い放つと、警官は一度顔を見合わせて、小さく息を吐いた。