青空の下月夜に舞う

目は真剣。
とてもふざけている様には見えないけれど。


「お前みたいに、泣くやつ初めてだから」

「……」

「泣きすぎだし、鼻水も出てたし」


鼻水は言わなくていいじゃん、と。
言葉にはせずに、睨んだ。


だけど、私の眼力なんて少しも気にする様子はなく。


「ガキみてぇ」


そう呟くと、私の耳から細い指を滑らせ、髪を撫でた。

頭に回った手のひらに、少し力をこめると、胸の中に引き寄せて。


「寝ろ。あれだけ泣けば疲れるだろ」


腕枕をされたまま。響の中に納まる私の体。

最初はドキドキしていたけど、その言葉を最後に黙りこまれ、撫でる指を心地よく感じ出した頃。

段々と睡魔に襲われ……




目が覚めた時は、既に明るく。

隣に寝ていた筈の響の姿はなかった。