青空の下月夜に舞う


「お、風呂に……」


声が少し震えていたのかもしれない。

私が話した数秒後。


電話口で、フッと笑った声がした気がした。


『そうなんだ?ごめんね。少し怖い言い方しちゃったね』

「ううん……」


良かった。
機嫌は直ったみたい。


『今暇になっちゃってさ。麻衣の家行っていい?』

「……っ!」


ヤバイ。今、雄大に響を見られたら……っ!

目が見開き、手に汗をかく。
Tシャツの裾を力強く握ると、願いを込めて口を開いた。


「今日ね、友達とバイト先で会っちゃって。そのまま家に居るの……」


上手く、伝わっているだろうか。
嘘は言ってない。

強いて言うなら、私と響は“友達”ではないけれど。
もうそれは思い込みの問題で、私が友達と思えば、友達なんだ、と。
無理矢理自分を納得させた。