青空の下月夜に舞う

お金を手渡すと、私の脇を通り抜け、キャッシュコーナーへ向かう。

あまりジッと見てたら私不審者だよね。

再びドアへ顔を向け、そのまま足を踏み出した。


ゆっくり歩いてけばいいか。

まだ若干早いけど、遅刻よりマシだ。

パン屋はもう働いて半年以上経つけど、焼肉屋は4月から。

まだ入って2ヶ月目の新人。

メニューはもう覚えたけど、動きがまださばけてないと思う。

慣れ、とは言うけど意外と難しいよなぁ。
ずっと忙しいもん。
7時から10時なんて鬼の時間だよ。

生ぬるい風が頬にあたり、髪をなびかせる。


しかしさっきの人綺麗だったよなあ。

人は見かけじゃないとか言うけど、やっぱ顔がいいと勝ち組だよね。
人生得してるよ。うん。


祐也との会話内容は、さっきの事で頭からすっかり消えていて。

セナに電話する事も、目の前のバイトの事で忘れていた。