黒色女子を個人授業

「お前、あいつと連絡取ってないのか?」

あいつ……

今井さんの言う『あいつ』は、たぶんあの人。


「取ってませんよ」

私は答えた。


「ああー……こいつらもう、本当に世話が焼ける……」

今井さんは身をよじって嘆いた。


「もう無駄ですよ。私だって散々言ったんですから。
帰りましょう」

花がオフィスのドアに向かって歩きながら、今井さんを手招いた。

今井さんは呆れた目でこちらを振り返りつつも、花のところへ向かった。


連絡なんて、取ったらダメだ。

ちゃんとお別れしたんだから。


……それに、上司と部下という関係が無くなってしまった以上、彼が私に関わる理由がない。


私は怖かった。

現実を突きつけられてしまうことが。