「そんな空想的な風景に見えるのは、 自分の世界に入った時だけの話だから」 …自分の世界? なに、それ。 きっと今 私は、 カイに対してかなり苦々しい表情を 浮かべていると思う。 だって、理解できないから。 「俺の場合、自分の世界に浸かるのは 疲れた時とか、物寂しい時かな? あと、落ち着く時。 千咲希も、やってみればいいじゃん。 ずっと外の空気に触れておくのは、 疲れるだろうし、さ」 カイが、私を誘う――。