「…言葉で説明すんのは難しいけど」 カイが、空に向けた人差し指を くるくると小さな輪を描くように 回した。 「俺には、あの雲が、 白い鳥の羽みたいに見えてる」 「…は?」 …羽?…雲が? カイは話の初めから ついていけない私を置いて、指先で 紅葉して赤く染まった山を指した。 「あの山は、 熱くない火で燃えてるように見えるし」 …頭が痛くなってきた。 だけど、話を振ったのは私だから、 我慢してカイの声に耳を傾ける…。 「街の灯りは、 宝石を散りばめたように見える…」 …もう、いい。