屋上につくと、 奥の地面に座る見覚えのある後ろ姿が 格子の間から見えた。 何かを眺めているのか、 珍しく私に気がついている様子がない。 通常なら、私が屋上の扉を開ける前に 「千咲希ー!」と名を呼ばれるのに。 扉を押すと、いつも通り 耳障りな音を立てて扉が開いた。 やっと、カイがこちらに視線をよこす。 「あ、よぉ千咲希! な、あれ見てみろよ! 天使が下りてきそうだぜ!」 また意味不明なことを…。