カツカツと、 非常階段を降りる足音が2人分、響く。 「千咲希、 今日はなんか、疲れてたのか?」 「…別に。ただ単に眠たかっただけ」 「あ、夜景、キレイ。光の泉みたい」 「…意味わからない」 カイの視線の先を見ると、 煌びやかに着飾った街の夜景が、 見渡せた。 キラキラ、輝いている。 だけど、どう見ても、 私には光の泉には見えないわけで。 …非常階段を降りると、手を振るカイに 小さく手を振り返して、 カイとは反対の道を歩いて行く。