星想い




ぽそり、とつぶやいた。



「火星は地球より小さいし。

自分より小さい恋人とか、嫌だ」



「え、火星ってちっちゃいんだ。



なんか千咲希って、

宇宙とかに詳しいな」



…え?

カイの口から飛び出した言葉に、

一瞬、胸が強く脈打った。



私が…宇宙に詳しい?



「…そんなに詳しくないけど。

…父親は宇宙が好きだったから。

夢ばっかりみて、

どうしようもないクソ野郎だったけど」



「…ふーん」



あえて過去形で言ったけど、カイは

気を遣っているのか遣っていないのか、

深く突っ込んでくるようなことは

しなかった。