そういえば…。 夏崎カイに気づかれないように、 ちらりと横目で盗み見る。 父親は、赤くてちょっと酸っぱい ハートのグミのことを 『夕焼けを買ってきた』って、 言ってたっけ。 耳にその声を入れた途端、 はらわたが煮え繰り返ったのを、 よく覚えている。 「…夏崎カイ、 ちょっと聞きたいことがあるんだけど」 「ん?なに?…てかなんでフルネーム? 呼び捨てにしてくれね?」 やっぱりつかめない。