街は茜色に染まっていて、 拝観していると心の中のモヤが すぅっと溶けていくような気がして、 気持ちが良かった。 「…行くか」 秋風が私の焦げ茶色の髪をなびかせる。 ちょっと傷んできたかも。 もうそろそろ切ろうかなぁ…。 カツン、カツン。 無機質な音を何度も立てているうち、 屋上の扉の前につく。 キイィ、ときしむ、 鍵のかかっていない扉を開ける。 その先には…。 「あっ、千咲希ー! 昨日めっちゃ怒ってたから、 来ないと思ってた」 駆け寄ってくる影。 …夏崎カイだった。