でも、一応『行く』って 返答しちゃったからなぁ…。 悶々と熟考しながら、私は帰路につく。 お母さんの親戚がなんとかお金を集めて ローンを返してくれた一軒家。 それが、私とお母さんのうちだ。 家に帰り玄関を開けると、 ちょうどお母さんがバーに出かけようと 白いコートを着て、靴を履いていた。 お母さんが顔を上げる。 「あ、おかえり、千咲希。 お母さん働きに行ってくるね。 ご飯、作ってるから」 「…うん」 申し訳なさそうに笑うお母さんのそばを 通って靴を脱ぎ、リビングに入った。