「…大丈夫?正気?」 男子の空想に嫌悪感を抱き、 辛辣な言葉を吐いて、 私は彼の精神を疑う。 「あぁ、うん、よく聞かれる。 大丈夫。至って正常な」 …他人にバカにされても良いくらい、 異様に苛立った。 空想が悪い訳じゃないとは わかっていても、父親のせいで 日々募った想像への反感は、消えない。 彼の青い瞳をまっすぐに見据えて、 言ってやった。 「…悪いけど、 私、そういうの無理だから」 夕暮れの一番星が、 雲に隠れてかすんだ。