0コンマ何秒かの沈黙の後、 私は、言葉を忌々しそうに吐き出した。 「…お父さんなんて、大キライ」 あぁ、わたしって、この時からすでに、 父親のことが、嫌いだったんだ。 父親に視線を向けると、 瞬刻だけ悲しそうに顔をゆがめてから、 またグビッとビールを喉に流し込んだ。 なぜだろう。 今までこんな場面を 思い出したことなんて1度もないのに、 やけに明確な、夢。