星想い




…目の前の父親は、

私が、はっきりと覚えている

当時そのままの姿。



だけど、顔はぼやけて…

よく、見えない。



「ちさきちゃーん、

オレは土星に着陸するよー」



私が何かを呟いて、

だけどそれを聞き取ることは

できなかった。



父親が、幼い私に手招きしている。



「…なに」



「ちさきは、お父さんのこと、好き?」



一瞬、私の眉がピクンと動くのを

視界にとらえて、固唾を飲んで見守る。



どう、答えるんだろう。