「あ、おかえり…どうしたの?
雨でも降ってたの?」
お母さんは、濡れた私を見て、
慌てて駆け寄ってくる。
…言いたいことがあったけど、
喉に言葉がつっかえて、声が、
出せなかった。
玄関で靴も脱がず立っていると、
お母さんが洗面所から
バスタオルを持ってきて。
私の髪を、優しく拭いてくれて。
「まったく…朝、天気予報で
雨が降るって言ってたのに…あれ?
千咲希、泣いてるの?」
…お母さんの言葉に、身体がビクリと、
震えた。
…言いたくない。
言いたくないと拒んだけど、
お母さんに、無性に腹が立った。



