「千咲希…」 「カイは良いよね。 幸せな家庭に生まれたんだろうね。 そんなに呑気だから」 髪から、しずくが垂れる。 だんだんと、寒かったはずの身体が、 熱く、熱く、なってきて。 私は、サイテイ。 「カイなんかと、 もう2度と、会いたくない」 あぁ、私、ホント最低だ。 カイの顔が見られない。 そのまま、踵を返して、 屋上を引き返す。 「私、一生ここに来ないから」 扉を開けて、1度も振り向かず。 カイの声は、 一言も、耳に届かなかった。