屋上に、ついた。
ゆっくり、ゆっくり、
扉を開けると、軋む音は、しなかった。
奥に、いつもみたいに、
遥か遠くを眺める後ろ姿が見えた。
「…カイ」
名前を、呼ぶと、
人影がクルリとこっちを向いて、
ふにゃりと笑った。
「あ、千咲希!
今日はちょっと遅かったな!
なんかあったの?」
カイが、
笑顔で歩み寄ってくる――。
…ピタリと、その足は止まった。
「…千咲希?どうした?
なんで、ぬれてんの?
…なんでうつむいてんの?」
いつもと違う私の雰囲気に、
やっと気が回ったようだった。
その声を、聞いて。
押さえきれなくて。



