…20分ほどが経った頃ようやく、 キィイときしむ、 屋上の扉が開く音が聞こえた。 耳に馴染んだその音に、 本から顔を上げ、視線を投げかける。 …よく見知った顔が現れて、 ふにゃりと口元がゆるい弧を描くのを 見た。 「ごめん千咲希、めっちゃ遅れた。 帰ろうとしたら、俺のこと嫌ってる 教師に捕まってさ〜、 『いい加減、現国の時間だけ 寝るのやめろ』って説教されてた」 「…遅い」 文句をこぼし、本をパタンと閉じて、 腰を少し左にズラす。 隣りに、カイが座った。