「にぃ! 学校で宿題出されたけどわからなくてー、教えて欲しいの」


パタパタと足と動かしながら言った。


「わかったからイスに座れ。 で、どこだ?」


水亜が座ったのを確認すると問題集を覗き込む。


ここだけは普通の学校とわからないんだな。


「……で――すると、こうなる。 次の問題も同じ公式使うからできるはずだ」


「……で――。 ……できたぁ!」


嬉しそうに万歳した後、イスの軸を変えて俺と向き合う形となった。


「にぃ、できたから…"ごほうび"頂戴?」


コテンと首を傾けた。


「何かほしいのか?」


俺がそう言うと水亜は首を横に振って、


「キスして? 唇に」


服の裾を掴み、目を閉じた。


「……わかった」


水亜の頬に触れて、唇に重ねるように口付けた。


ガチャッ


「水蓮さん、お待たせ…」


ノックもせずに入ってきた虎が固まった。