「仕事中とかじゃなくて、休みの日にゆっくりお話したいな〜」
「いや〜ダメですよ〜。他の先輩方に殺されますって。先輩のファン多いんですよ?」
「…………」
「先輩?」
「じゃあ、もう、いいよ……」
それを最後に電話は切れた。
ちょっとしつこかったかも知れない。
ちょっと失礼だったかもしれない。
デートくらいいいじゃん! って言う声が、僕の中にも確かにある。
でも、僕と先輩は不釣合いだし、いや、不釣合い以前に、そういう可能性を自分の中で妄想することすらしたくない。
妄想すれば期待が生まれる。
でも、その期待はいずれ失望に変わることは目に見えてる。
だったら最初から、そういう”芽”は摘み取っておくべきだと思う。


