入社後のオリエンテーション。

僕らは二十人の同期は、四つの班に分けられた。

班編成の方法は、学歴に関係なく苗字順(五十音順)で、境の『さ』と高梨の『た』とで、僕らは同じ班だったのだ。

新入社員研修中、極力、この班での行動を義務付けられた。

与えられた課題に対して、班毎での話し合いや発表、研修先を回る単位、それらも班毎に行われた。



人間に班などの小集団という枠を与えると、そこには自ずとリーダーが生まれる。

そして、そこにリーダーに対する確執や嫉妬などの感情も生まれる。

会社側がリーダーシップを取るべき未来の人材を見たかったのか、そういう環境下において、羨望や焦燥を感じ、人の足を引っ張る人間を選別したかったのか、それはわからない。

だけど、僕は何れにも参加せず、第三の立場を取った。

傍観者だ。

たぶん、同期の奴らにも会社の人間にも、こいつは役に立たないと思われていると思う。