車の助手席側をパスタ屋の玄関につけ、リエが乗り込むのを待つ。 僕が珍しく、車を回してきたことに、一瞬驚いた顔をしたが、直ぐにニカっと笑って助手席に座る。 その笑顔は、いつもより若干控えめだったが、何だか嬉しそうに見えた。 「えへへへへ」 「気持ち悪い」 「うへへへへ」 「…………」 リエは「ふふ〜ん」と小さな鼻を鳴らしながら、僕を下から覗き上げる。 僕は鼻の穴の奥を見られているようなくすぐったいような変な気分になって、鼻の下を擦った。